なぜキャッシュレス決済を推し進めるのか?政府の狙いは?
10月から消費税が8%から10%へ増税した際にキャッシュレスの還元を行なっている日本。なぜ日本がここまでキャッシュレスを推進しているのでしょうか。
確かに、財布を持ち歩かなくてもいいという点では非常にありがたいですが、お店側としては手数料がかかってしまったりとマイナス面があるというのもありますよね。
キャッシュレス化の本当の目的はどこにあるのでしょうか。
キャッシュレス化の目的
キャッシュレス化を推進する目的、理由は複数あります。
第一に挙げられるのが、「現金管理のコスト削減」です。ATMの運営コスト、現金管理のための人材、セキュリティ、輸送費といったものが多額となってかかっています。
みずほファイナンシャルグループの発表によると、キャッシュレス化することによって現金の取扱コストが8兆円から4兆円と4兆円もの削減ができるそうです。
第二に挙げられるのは、「東京オリンピック、パラリンピック開催における訪日外国人への支払い手段提供による利便性・効率性の向上」です。確かに、現在はクレジットカードではわざわざ現金を日本円へ替える必要なく支払いができるのですが、もっと簡単にキャッシュレスで支払いができると便利ですよね。
そして注目すべき項目として「不透明な現金流通の抑制による税収向上」です。キャッシュレスで買い物や支払いをすることで、どこで何を買ったのかと明確な記録が残ります。そうすることで、個人事業主などで行われる節税のための所得隠しや不必要な経費計上といったものがなくすことができますよね。
現在は、キャッシュレス支払いによる還元を税金から捻出して行なっていますが、今後日本全体としてキャッシュレスの利用が広まっていくことで税収確保が徹底され、結果として還元よりも多くの税収が入ることとなることが見込めます。
利便性とコスト削減はもちろんですが、税収までも徹底されるのであれば間違いなくキャッシュレスが広まって欲しいと思う人は多いのでしょう。
現在のキャッシュレス決済比率
「キャッシュレス・ビジョン」では、日本国際博覧会(大阪・関西万博)が開催される 2025 年までにキャッシュレス決済比率を40%とする目標を設定しています。将来的には世界最高水準の80%を目指すとした「支払い方改革宣言」が提示されました。
2018年の家計最終消費支出全体におけるキャッシュレス決済の比率は25.5%となっており、年々の増加傾向が見られており、2025年には目標の40%どころか50%を超えるのではないかとも予想されています。
日本は現状、世界と比べてキャッシュレス決済が遅れているというのも耳にしますよね。現在、世界と比べてもいてどうなのでしょうか。
キャッシュレス・ロードマップ2019によると各国のキャッシュレス決済比率の状況上位国を見てみましょう。
韓国 96.4%
イギリス 68.6%
中国 65.8%
オーストラリア 58.2%
カナダ 56.3%
アメリカ 46.0%
こちらは2016年のデータなのですが、この時日本は19.9%となっています。比較してみると、遅れを取っていることがよくわかりますよね。
そして驚くべきことは韓国のキャッシュレス決済比率が驚異の96.4%ということです。他国と比べて圧倒的な比率の高さを持っているのには、国が積極的にキャッシュレス化を行なっていきた背景があります。
韓国では小売店の脱税が増加している問題を解決し、個人の消費を促すためにクレジットカードの利用を推し進めました。
具体的な施作としてはクレジットカードを利用すると抽選番号がもらえ、当選金が配られるくじを開催するといった工夫がみらたり、クレジットカードの取扱自体を義務化したお店を増やしたりと行動をした結果がキャッシュレス比率の高さに繋がっているのです。
現在、韓国ではモバイル決済が普及しており、カカオトークと連携した「KakaoPay」が人気となっています。
なぜ日本はキャッシュレス化が遅れているのか
日本では、おサイフケータイなど、クレジットカード以外のキャッシュレス決済が存在していました。しかしなぜ諸外国と比較してキャッシュレス化が遅いのでしょうか。
日本では偽札が横行することがないことから現金への信頼性が非常に高いものとなっています。また、現金が強奪といった事件もほとんど発生していない治安の良さから現金を持ち歩いていても安全というのも一つの理由ですね。
そして、キャッシュレス化を進めて削減したいであろうATM自体が、コンビニや主要な駅には存在していていつでも現金を下ろすことができるため、キャッシュレス決済手段を持たないという人もいるのも大きいですね。
ポイント還元やネットショッピングの流行によってこれからは徐々にキャッシュレス化はしていくでしょうが、理由を見てみると確かに日本でキャッシュレス決済が流行らないというのは理解できてしまいますね。
まとめ
キャッシュレス化が進むことで、税収の確保、現金管理のコストが削減できるという魅力があります。その実現を図るために政府はいまキャッシュレスを推進しているのですね。
キャッシュレスによるビッグデータにより消費がよりいい方向へ向かうという点も評価できますね。
今後は新たなキャッシュレス決済手段も出てくるでしょうし、どんどん普及していくでしょう。2025年には目標の数値を超えているのかどうかも楽しみですね。